沖縄本島で昨年11月、成人女性に性的暴行を加えたとして、不同意性交致傷容疑で書類送検された在沖縄米海兵隊員の30代男性について、那覇地検は23日、嫌疑不十分で不起訴処分とした。男性や被害女性から聴取し、収集された証拠を総合的に勘案した結果、同罪の成立は困難と判断した。
不起訴とした性犯罪事件の裁定主文や処分理由を地検が明らかにするのは異例。那覇地検は、沖縄県民の関心の高い事件であることから、被害者の二次被害防止やプライバシー保護に配慮しつつ、「一定の範囲で明らかにする必要があると判断した」としている。
男性の書類送検を受け、沖縄県の玉城デニー知事は今月16日、外務省の宮川学沖縄担当大使と防衛省沖縄防衛局の伊藤晋哉局長を県庁に呼び、「極めて遺憾で、激しい怒りを覚える」と抗議。米兵による性犯罪が相次いでいたことから「米軍が実施している再発防止策の実効性に強い疑念を持たざるを得ない」と訴えていた。
沖縄では昨年、米兵による性犯罪が相次ぎ発覚。県警がプライバシー保護などを理由に事件を公表せず、外務省も事件を把握しながら県に情報を共有していなかったため県民の不信を招く結果となった。事件に関する日米の通報手続きが形骸化していたと指摘され、政府は昨年7月、米軍が絡む性犯罪については例外なく県に伝達するよう情報共有の運用を見直した。