神戸市西区で令和5年6月、保育園児の穂坂修(なお)ちゃん=当時(6)=が家族から暴行を受けて死亡し、スーツケースで遺棄された事件を受け、市の対応を検証してきた第三者委員会は24日、報告書を公表した。「危機感が共有され、生かされていれば、死を防ぐことができたかもしれない」とし、初動対応のミスや情報共有不足などの問題点を指摘し、市に再発防止を求めた。
事件を巡っては5年4月20日、保育園の職員が修ちゃんの体にあざを発見し、同24日に西区役所に通告。区の担当者が同日家庭訪問したが、修ちゃんに会えなかった。翌5月1日に再訪問し、修ちゃんと面談した際に耳の上にあざを確認しながらも、一時保護には至らなかった。
報告書では、通告受理後48時間以内に児童の安全確認ができておらず、一時保護が望まれるタイミングが4回あったなどと指摘。職員らの間で危機感が共有されておらず、再発防止策として、航空・医療業界で採用される安全管理の仕組みを導入して報告の迅速化を図ることや、虐待が疑われた場合に子供の安全確保を最優先とすることなどを提言に盛り込んだ。
第三者委は5年9月から計5回の会合を開催。関係機関へのヒアリングなどを通じ問題点をまとめた。