26人が犠牲となった大阪・北新地のクリニック放火殺人事件は17日、発生から3年となった。現場となった大阪市北区のビルの前にはクリニックの元患者や遺族らが訪れ、花を手向けたり、手を合わせたりして、犠牲者を悼んだ。
この日は午前8時ごろ、犠牲になったクリニックの西澤弘太郎院長＝当時（49）＝の妹、伸子さん（47）が現場を訪れ、ペットボトルの水などを供え、約15分間お経を読み上げ静かに手を合わせた。
献花に訪れたクリニックの元患者で滋賀県在住の女性（40）は「西澤先生は冷静だけど熱血。『就職できることを証明してあげるから』と熱い言葉で励ましてくれた」とし、「仕事につき、結婚したことを伝えにきた。今の私があるのは先生のアドバイスのおかげ。二度とこんな事件は起きてほしくない」と話した。
中高時代の同級生が犠牲になった大阪市の自営業の男性（52）は発生時刻に合わせて現場を訪れた。「つらかったやろうな、苦しかったやろうなと思う。安らかに眠ってほしい」と花を手向けていた。
事件は令和3年12月17日午前10時15分ごろ発生。ビル4階クリニックが放火され、スタッフと患者計26人が死亡した。大阪府警は4年3月、殺人や現住建造物等放火容疑などで、現場から搬送後に死亡した、谷本盛雄容疑者＝当時（61）＝を書類送検。その後、不起訴処分となった。