世界有数の歓楽街、東京・歌舞伎町の中心部にある「新宿東宝ビル」の周辺、通称「トー横」。居場所やつながりを求める少年少女らが集まり、「トー横キッズ」と呼ばれる。交流サイト(SNS)であこがれを持ち訪れる若者も多い一方、界隈(かいわい)の危うさは度々事件となって表面化。警視庁などが警戒や取り締まりを強化している。
トー横に若者が集い始めたのは平成30年ごろとされる。「映える」としてネオン看板を背景にダンスを踊る様子をSNSに投稿する動きが広まり、次第に若者がたむろしてコミュニケーションを交わす場所になった。新型コロナウイルス禍では歌舞伎町の人出が減る中で、「子供がちらほらといるのが妙に目立っていた」と当時の捜査員は振り返る。
「不穏な動きが見え始めたのは令和3年ごろ」とある捜査員は話す。この年、トー横周辺では少年少女3人が相次いで飛び降り自殺し、児童買春や、少年らがホームレスの男性を暴行し死亡させる事件が発生した。
その後も、医薬品の過剰摂取(オーバードーズ)や薬の違法販売、「トー横の王」「帝王」などと名乗る中心人物による女子小中学生への性犯罪などが相次ぎ、一帯は未成年者の未熟さにつけ込む犯罪の温床となっている。
警視庁少年育成課は3年から定期的な一斉補導を行い、今年1~11月の補導人数は725人。前年同期の863人からは1~2割減少した。一方で、オーバードーズによる補導が増加するなど状況は深刻で、少年育成課は安易にトー横に立ち入らないよう呼びかけている。(橋本愛)