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コロナ貸付金4500万円受領 大阪府警摘発の投資詐欺グループ、活動資金に運用か

産経ニュース 2024年9月23日 22時24分

2つの詐欺グループの拠点が大阪府警に一斉摘発されたSNS型投資詐欺事件で、片方のグループが政府系金融機関から新型コロナウイルス禍で悪化した業績を立て直すための貸付金総額4500万円の融資を受けていたことが23日、捜査関係者への取材で分かった。事業者に実質無利子・無担保で融資を行う制度で、グループは3つの法人名義で手続きをしていた。融資金がグループの活動資金として運用された可能性もあり、府警は詳しい経緯を調べている。

2つのグループでは、これまでに101人が詐欺容疑などで逮捕されている。

捜査関係者によると、融資金を借りていたのは20人ほどの小規模グループのメンバー。もとのグループから主犯格の男(43)ら一部メンバーが独立し、小規模グループを形成したとみられる。

事件を巡る捜査で、令和2年4月~3年11月、3つの法人名義でそれぞれ1500万円の貸付金を得ていたことが判明。3法人はそれぞれ「民泊コンサルティング」「建物調査業」「営業代行業」の経営をうたって手続きをしたが、事業実体は不明という。

投資詐欺グループは3年ごろから活動していたといい、貸付金をグループの立ち上げや活動資金に充てていた可能性もあるとみて府警が捜査している。

「ゼロゼロ」審査の甘さ突く

政府系金融機関が新型コロナウイルス禍で中小企業支援策として実施した実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」を巡っては、売り上げ改竄(かいざん)などによる不正受給や、返済できないまま倒産する事業所が多発するなどトラブルが相次ぐ。

信用調査会社によると今年上半期のゼロゼロ融資利用企業の倒産は、327件。令和2年7月からは累計1547件に上っている。会計検査院は4年度末時点で、日本政策金融公庫などの貸し付けた計697億円を回収不能の損失として処理したとし、今後の非常時では、融資申し込み先について「適正性の担保が求められる」と指摘した。

背景にあるのは審査手続きの緩和措置だ。コロナ禍の緊急融資という制度目的から、提出を求める書面などが簡素化されたが、結果的にこの点が悪用された形だ。

「営業代行業」など3事業で申請をしていた今回の投資詐欺グループ。捜査幹部は「実体があったのか、怪しい部分もある。コロナ禍の隙をついた資金調達手段の一つだったかもしれない」と指摘する。(藤木祥平、鈴木文也)

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