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井の頭公園バラバラ殺人事件 迷宮入り 父の無念 警視庁150年 92/150

産経ニュース 2024年10月18日 7時0分

都会のオアシスとして人々の憩いの場となっている井の頭恩賜(おんし)公園(東京都武蔵野市・三鷹市)で平成6年4月、清掃員がゴミ捨て場にあった袋の中に人の足の一部が入っているのを発見した。

周囲を捜索したところ手首、肋骨(ろっこつ)など数十個のバラバラの遺体が見つかったが、頭部はなく、手足の指紋は削られていた。身元確認を遅らせる意図があったとみられる。警視庁は殺人事件として三鷹署に特別捜査本部を設置した。

数日後、血液型や身体特徴などから被害者は1級建築士の30代男性と断定。行方不明となった当日、以前勤めていた建築事務所の元同僚と新宿区内での飲み会に参加していたが、新宿駅で元同僚と別れて以降、足取りは途絶えた。

男性の家族や関係者をあたるも容疑者は浮かばず、捜査は難航。事件発覚の約11カ月後には、オウム真理教による地下鉄サリン事件が発生し、多くの死傷者が出たテロ事件に捜査員が招集され、捜査態勢は縮小された。

男性の父親は、自ら出版社を立ち上げ、7年2月に事件についてつづった著書「心事の軌跡」を出版。あとがきにはこう書かれていた。

「解決のめどがついてから発刊するつもりでいましたが、捜査の方が長期化する様相を呈してきましたので、尻切れトンボのような形態のまま出版せざるをえませんでした」

父親はその後他界。事件は多くの謎を残したまま容疑者が判明することはなく、21年に公訴時効が成立し、迷宮入りした。(前島沙紀)

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