首都圏を中心に、太陽光発電設備のケーブルなど金属製品が盗まれる被害が相次いでいる問題で、警察庁は9日、対策を議論してきた有識者検討委員会の最終報告書を公表した。買い取り業者による売却者に対する本人確認の義務化や、犯行に使う工具の規制強化などを要請しており、警察庁は法案を作成し、早期の国会提出を目指す。
警察庁によると、金属盗は被害が増加を続けているほか、価格高騰が続く銅が使われている送電ケーブルが盗まれ、停電なども発生していることから、対策が急務となっている。
報告書は、実行犯らの摘発を強化するだけでなく、条例を制定した一部自治体を除き、法規制がない買い取り業者の本人確認などを強化することで、現金化しにくい環境をつくることに主眼を置いている。
具体的には、金属を買い取る際、写真付き身分証で本人確認▽確認・取引記録の作成、保管▽盗品が疑われた場合の警察などへの申告-を義務化。犯行に使われることの多いケーブルカッターやボルトクリッパーと呼ばれる工具を規制し、隠し持つことを禁じるよう求めた。
警察庁の担当者は「報告書の提言を踏まえて新規の立法をするべく、可能な限り早く国会に法案をしたい」と話している。