東京女子医大(東京都新宿区)の新校舎棟建設を巡る背任事件で、元理事長の岩本絹子容疑者(78)が東京都足立区の医療施設の工事でも、大学から1級建築士の男性(68)に実態の伴わない業務への報酬を不正に支払わせ、そのうち5千万円を自身に還流させていたことが15日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁捜査2課は岩本容疑者への還流は総額約8700万円に上るとみて調べを進めている。
捜査関係者によると、付属病院「東医療センター」(現「足立医療センター」)の足立区への移転を巡る工事で、大学側から男性に建築に関するアドバイザー業務への報酬として計約1億5千万円が振り込まれた。税引き後の3分の2にあたる約5千万円を岩本容疑者が受け取っていたという。
男性から岩本容疑者への受け渡しは現金で行われ、岩本容疑者の側近で大学幹部の女性(52)が複数回にわたって届けていた。岩本容疑者は受け取った金をブランド品の購入などに充てていたとみられる。
岩本容疑者はこれまでに、同大構内の2施設の新設に関して、同じ男性を通して不正に自身に約3700万円を還流させていたとして、捜査2課が13日、背任容疑で岩本容疑者を逮捕した。捜査2課は15日、岩本容疑者を送検した。