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「いい碑を作ってもらったね」京アニ事件から5年、祈りの場で友人やファンら追悼

産経ニュース 2024年7月18日 18時56分

京都アニメーション放火殺人事件の発生から5年となった18日、京都府宇治市の公園に新設された碑には朝から多くのファンや関係者が訪れ、犠牲になったスタッフの冥福を祈った。「自慢の友人だった」「作品をありがとう」。親友を亡くした人、京アニ作品に励まされた人。事件を後世に伝える碑の前で、さまざまな思いが交錯した。

「知らないうちに京アニの役員になっていてびっくりした。自慢の友人でした」。人気アニメ「らき☆すた」などの監督として活躍した武本康弘さん=当時(47)=の高校時代の同級生で、兵庫県たつの市の会社員、中浜貞治(ていじ)さん(52)がこの日、宇治市の「志を繋(つな)ぐ碑」の前で手を合わせた。

同じ高校の文芸部で仲良くなり、武本さんを「たけちん」の愛称で呼び親しんでいた。卒業後も2人で出かけ、正月や盆休みには毎年顔を合わせる仲だった。

武本さんが手掛けた作品のカメラワークや音楽が好きだった。今もアニメを見るたび、「『たけちんが監督だったら、どんな作品になっただろう』と思う。彼のことを毎日思う」と打ち明ける。

京アニ事件を後世に伝え、国内外から寄せられた支援への感謝を象徴する場所と位置付けられた碑。目の前に立った中浜さんは「たけちん、いい碑を作ってもらったね。また来年来るよ」と伝えた。

碑には犠牲者数と同じ36羽の鳥と碑文があしらわれている。正面に立つと、ちょうど京アニ第1スタジオ跡地(京都市伏見区)の方角を向くように設計されている。

「すてきな作品をありがとう」。神戸市北区の会社員、浜田雅之さん(50)は碑に向かって呼びかけた。過去に気落ちしていた時期、京アニのキャラクターに励まされたという浜田さん。「京アニ作品は心の支えです」。京都府亀岡市の公務員、谷文乃さん(22)は「みんなの思いが形になる碑ができた。事件のあった日は絶対に忘れない」と話した。(堀口明里)

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