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<独自>「絆会」本部ビルが民間に売却 仮処分と暴対法で立ち入り禁じられ使用断念か

産経ニュース 2025年1月14日 6時30分

特定抗争指定暴力団・絆(きずな)会の本部事務所に認定されている大阪市中央区のビルが、民間に売却されたことが13日、捜査関係者などへの取材で分かった。ビルを巡っては令和5年、大阪地裁が使用禁止の仮処分命令を出したほか、暴力団対策法に基づく特定抗争指定に伴う立ち入り禁止措置も出ており、組側は使用を断念したとみられる。警察当局は今後の情勢を注視する。

絆会(金禎紀(よしのり)=通称・織田絆誠=会長)は平成27年の暴力団・山口組分裂を発端に指定暴力団となった。現在の本部事務所(主たる事務所)は、国家公安委員会が大阪市中央区島之内の5階建てビルと認定している。

捜査関係者や登記簿によると、ビルは平成23年から織田会長の所有となっていたが、近隣で事業を営む中国籍の男性に昨年12月23日付で売却された。売却額は約6千万円とみられる。

ビルを巡っては令和5年11月、近隣住民らの委託を受けた大阪府暴力追放推進センターが使用差し止めを申し立て、翌12月に大阪地裁が使用禁止の仮処分命令を出していた。昨年6月には山口組との抗争激化から暴対法に基づく特定抗争指定を受け、事務所としての使用が二重に禁止される事態になっていた。

今回の売却について、捜査関係者は「事務所として使うのが難しくなり、組織の資金繰りに充てたかった可能性もある」と分析。警察当局は今後、ビルから拠点としての機能がなくなるか慎重に見極める方針。

絆会の本部事務所は当初、兵庫県尼崎市のビルが認定されていたが、令和3年10月に民間事業者に売却。5年7月、今回売却されたビルが本部事務所に認定されていた。

分裂10年、勢力縮小進むも抗争終結見えず

国内最大の暴力団山口組から神戸山口組が分裂し、今年で10年となる。神戸山口組側は再分裂で絆会も設立された上、中核組織が山口組に復帰するなど勢力が縮小し、山口組に優位な情勢だ。ただ抗争は続いており、終結の見通しは立たない。

平成27年夏、山口組から組織運営に反発する複数の幹部が離脱し、神戸山口組を結成。29年の神戸山口組再分裂で、脱退した幹部らが設立したのが「任俠(にんきょう)団体山口組」(現絆会)だ。同じく神戸山口組を離脱した池田組と友好関係を築き、山口組に抵抗を続ける。

警察庁の資料によると、山口組の勢力(準構成員を含む)は分裂直後の27年末に約1万4100人だったが、令和5年末には約7400人に減少。一方、神戸山口組は約6100人から約400人に激減し、絆会も結成直後の約770人(平成30年末)から170人に落ち込んだ。

警察側の締め付けにより、全体的に勢力縮小がみられるものの、山口組系幹部の射殺が相次ぎ、絆会幹部が昨年逮捕されるなど、抗争状態が続いている。

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