北九州市小倉南区のマクドナルドの店舗で、中学3年の男女が刃物のような物で刺され、同区の中島咲彩(さあや)さん(15)が死亡した事件で、男子生徒(15)に対する殺人未遂の疑いで逮捕された同区長尾の無職、平原政徳(ひらばる・まさのり)容疑者(43)。識者からは容疑者がサンダル姿で凶行に及んだことなどに対し、「捕まることを全く恐れていなかったのでは」との指摘が出ている。
県警などによると、平原容疑者は事件の十数分前に車で現場店舗に到着し、サンダル姿で入店。レジの列の最後部付近に並んでいた2人に真っすぐ近づき、中島さんの腹と、男子生徒の腰を立て続けに刺したとみられる。容疑者が店舗内にいたのは十数秒で、店を出ると車で逃走していた。
新潟青陵大大学院の碓井真史教授(社会心理学)は「近所のファストフード店を犯行現場に選び、サンダル履きで車に乗っていくというのは、捕まることを全く恐れておらず、非常に雑な犯行だ」と指摘する。
また、殺傷事件では「(犯人が)顔を隠し、一目散に逃げていく」ことが一般的なのに対し、平原容疑者は素顔のままで、慌てる素振りがあったとの情報も確認されていない。このため、「本人は悪いことをしているという気はなく、むしろ刺した段階で『成し遂げた』という感覚があったのでは」と推測する。
その上で「孤独と絶望感があり、世の中の幸せそうな人に恨みを感じていたのでは」とし、「恵まれた家庭の子供に一方的に恨みや怒りを感じ、狙った可能性もある」とした。