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鍵握る維新対応、狭まる「斎藤知事降ろし」包囲網 第三者機関の結論焦点に

産経ニュース 2024年7月16日 20時24分

パワハラ疑惑に揺れる兵庫県の斎藤元彦知事を巡り、3年前の知事選で斎藤氏を推した自民党兵庫県連が進退に関する決断を迫り、辞職を求める姿勢を鮮明にした。「知事降ろし」の包囲網が日々狭まる中で、自民と並んで支援の両輪を担ってきた日本維新の会は「真実を見極めるべきだ」として議会や第三者機関による調査結果を待つ構え。斎藤氏は16日の会見でも続投の意向を重ねて示したが、県政の混乱が収まる気配はない。

「道は険しいかもしれないが、4年間仕事をしてほしいと県民から負託を受けた。県政を立て直すことが私の責任だ」

16日午後の記者会見。斎藤氏は約1時間半にわたり、現時点で辞職の考えはないと繰り返した。焦点となるパワハラ疑惑については「業務上必要な範囲内での指導」と改めて否定した。

有権者からの「負託」という表現を何度も使い、令和3年の知事選で示された民意を強調せざるを得なかったのは、足元で離反が進むことの裏返しともいえる。

当時、斎藤氏擁立の中心的な役割を果たした自民兵庫県連。14日に神戸市内で開いた大会では、会長の末松信介参院議員が一連の問題に触れ「大きな正しい決断をしていただきたい」と言及した。事実上の辞職要求ともいえる発言で、報道陣の取材には、来夏に予定される次期知事選にも踏み込み、「前回と同じ形は厳しい」と話した。

末松氏の発言について「大変重いと受け止めている」とした斎藤氏。県議会最大会派である自民との今後の関係性を見据え、「道のりは困難ではあるが、時間をかけてやるべきことをきっちりやっていく」と述べ、何度も頭を下げた。

一連の問題を巡っては当時の県西播磨県民局長の男性(60)が文書を作成し、パワハラ疑惑を告発。これに対し斎藤氏が「公務員失格」などと強く非難するとともに公益通報後に懲戒処分を下し、その対応が問題視された。

今月7日に男性の自殺が明らかになると逆風はさらに強まり、県職員労働組合が辞職を含む対応を求め、申し入れ書を提出した。12日には側近の片山安孝副知事が「県政の混乱と停滞を招いた責任を取りたい」と今月末での辞意を表明。斎藤氏に対し5回にわたって辞職を進言したことも明らかにした。

一方、3年前の選挙で自民とともに斎藤氏を推薦した維新は、態度を保留して現状を静観する。「斎藤知事はパワハラを否定している。真実はどこにあるのか」。そう問題提起したのは維新共同代表の吉村洋文大阪府知事だ。

兵庫県議会の調査特別委員会(百条委員会)が疑惑の調査を進めているほか、第三者機関も立ち上がる予定で、吉村氏はこれらの調査結果を優先すべきだとの考えを示し「政治家の出処進退は本人が判断する。事実が分からないまま『こうしなさい』というのは違う」と記者団に語った。

斎藤氏は知事選の直前まで大阪府財政課長を務め、選挙戦では当時維新の代表だった松井一郎氏や、吉村氏が応援に駆け付けた。

維新は兵庫県議会では自民に次ぐ第2会派。拠点の大阪に比べるとまだ組織力に差がある。斎藤氏が辞職した場合、後任候補探しの難航も予想され、こうした事情が現状静観の背景にあるとみられる。

一方、第3会派の公明党の議員団幹部は「今の時点で、辞めないといけない理由はない。告発内容について事実が解明されたことは一つもない」としつつ、県政運営の混乱は「由々しき状況」との現状認識を示し「様子を見つつ、情勢を見て判断する」と含みを持たせた。

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