芸能界から引退した中居正広さん(52)の女性トラブルにフジテレビ社員の関与が報じられた問題で、同局を傘下に持つフジ・メディア・ホールディングス(FMH)と同局は、事実関係調査のために設けた第三者委員会の委員長に竹内朗弁護士を選任した。竹内氏は、これまでNHK記者らによるインサイダー取引事件や東京女子医大トップによる背任事件などを調べる第三者委に従事し、企業法務のプロとして知られる。
王将は反社勢力との関係調査
竹内氏は15年以上にわたり、大企業や団体の不正調査に携わってきた。平成20年のNHKの事件では、第三者委でNHK職員約1万3000人を対象に調査。事件では、複数のNHK職員が企業の資本業務提携のニュースを放送前に知り、関連銘柄を売買して利益を得ていたが、1000人が取引情報の開示に非協力的だった実態を浮き彫りにし、職業倫理の欠如や組織の存続に対する危機意識の乏しさを指摘した。
28年には、中華料理チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの大東隆行元社長の狙撃事件に絡み、第三者委で反社会的勢力との関係の有無などを調べた。調査報告書では創業家による不透明な不動産購入や金銭の貸し付けを認定し、ガバナンス(企業統治)体制の見直しなどを提言した。
令和6年に副委員長を務めた東京女子医科大の第三者委では、同窓会組織を巡り不透明な資金支出があった実態を調べ、寄付金を重視する推薦入試や人事のあり方にメスを入れた。新校舎建設工事を巡り、背任容疑で逮捕された元理事長の岩本絹子容疑者について、権限が集中し、大学がガバナンス不全に陥っていたことなどを指摘している。
利害関係持たぬ弁護士ら選任
今回のフジテレビの第三者委は、日本弁護士連合会(日弁連)のガイドラインに基づいた形式で行われる。ガイドラインで、第三者委は対象から独立した委員のみで構成し、経営陣に不利となる事実も報告書に書き込むことを定めている。
第三者委の委員は、検察出身や裁判官経験のある弁護士が務めることが多い。弁護士同士の紹介で、対象と利害関係を持たない外部の弁護士が選任されるという。(高木克聡)