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<独自>特定秘密扱った大半が無資格「曹士」 海自ずさん運用 艦艇の人員不足深刻

産経ニュース 2024年7月9日 20時46分

海上自衛隊の複数の護衛艦で特定秘密のずさんな取り扱いが確認された問題で、秘密を扱う公務員らの身辺調査「適性評価」を経ずに特定秘密を扱った疑いのある隊員の大半が、現場で幹部の指示を受けて作業にあたる「曹士」階級だったことが9日、防衛省関係者への取材で分かった。ずさんな運用が多くの護衛艦で常態化している恐れがあるが、艦艇の人員不足が深刻化する中で資格取得が進まない構造的問題もありそうだ。

防衛省は内部部局の幹部によるパワハラ問題も含め、週内にも関係者を懲戒処分にする方針。

自衛官の階級は幹部と「曹士」に大別される。幹部は3尉以上で部隊を指揮する立場。「曹長」と1~3曹、「士長」と1~2士からなる「曹士」は専門技能で各任務を直接遂行し、自衛官の定員の約8割を占める。

防衛省関係者によると護衛艦では戦闘訓練や作戦指揮で使用するCIC(戦闘指揮所)内部のモニター画面などに映し出された船舶の航跡情報などが特定秘密に該当。艦橋でも特定秘密に当たる情報がやり取りされる。

平成26年施行の特定秘密保護法は、適性評価で漏洩の恐れがないと認められた職員だけが外交・防衛などに関する特定秘密を取り扱える。有効期間は5年。

無資格の隊員がCICや艦橋へ出入りすれば、特定秘密に触れる可能性が高い。曹士階級は一般的な操艦教育を経てすぐに艦艇へ配属される。船務でCICに出入りするには、配属後に適性評価を受ける必要がある。

しかし、部隊運用を支える若手隊員ほど充足率は低い。海自は内訳を明らかにしていないが、航海が若者層に忌避される傾向もあり、艦艇乗員は慢性的な人員不足にある。

適性評価の結果が出るまで半年以上かかるケースもあるといい、ある海自関係者は「無資格者がCICや艦橋に入れないと船務員として役立てず悩ましい」と話す。(市岡豊大)

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