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<独自>改訂前仕様書に独占扱いの製品名 「特定業者優遇」強まる 海自入札疑惑

産経ニュース 2025年1月14日 21時11分

海上自衛隊が潜水服の入札で特定業者を優遇していた疑いがある問題で、海自が当初、作成した潜水服の入札仕様書が、特定業者が事実上独占して扱うメーカーの製品名を指定していたことが14日、産経新聞が入手した仕様書で分かった。後の改訂で製品名は削除された一方、製品と合致する素材が要件に追加された。仕様書が特定業者を優遇する目的で作成された疑いが強まった。

海上自衛隊トップの斎藤聡海上幕僚長は14日の記者会見で「特定企業を優遇することは全くない」とした上で「部隊の任務遂行に必要な事項を定めた仕様書を作成した」と述べた。

海上幕僚監部装備需品課が令和5年11月に作成した仕様書は、潜水服の裏地に大阪府の潜水服メーカー「ワールドダイブ」が開発した製品「マルチエラステックス」を使うよう指定していた。

複数の潜水服業者によると、マルチエラステックスは、公表された6年の海自の潜水服の大型入札10件中7件を受注した潜水服業者「シンカテック」(横浜市)が事実上、独占して扱っていた生地だった。

関係者によると、この仕様書の公表後、競合他社が海自に苦情を申告。海自は製品名を削除した改訂版の仕様書を5年12月に公表し、この会社に「製品名であることを認識したため改訂した」と連絡した。

一方、改訂版仕様書では、それまで記載されていなかった潜水服の裏地の素材割合や重さ、染料など、マルチエラステックスの特徴と合致する要件が追加された。

複数の業者によると、同じ要件を満たす製品は、改訂版仕様書が公表された同年12月時点で、マルチエラステックス以外になかった。

製品名を削除する代わりに、実質的に製品を指定するのと変わらない詳細な要件を仕様書に追加することで、特定業者を優遇した可能性がある。

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