三菱UFJ銀行の支店の貸金庫から元行員が顧客の現金や金塊を盗んだ事件について、半沢淳一頭取は17日朝、記者団の取材に応じ、被害にあった顧客に陳謝した上で「信頼回復に努めることで経営責任をしっかり果たしていきたい」と語った。貸金庫ビジネスのあり方を見直し、3月をめどに今後の方向性を決める考えも明らかにした。
貸金庫ビジネスを巡っては、顧客は貴重品を自由に出し入れできる一方、銀行側は中身を把握しないまま預かる。窃盗事件や紛失が起きた場合に被害の詳細を把握しづらいだけでなく、脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)など犯罪の温床にもなりやすい。
同行の貸金庫を利用する顧客は現在約13万人。強盗事件の多発を背景に、その利便性が再注目されているものの、少子高齢化で利用者数は減少傾向にあり、銀行にとっては決して採算のいい事業とはいえない。
半沢氏は「貸金庫ビジネス固有のリスク、事業採算などの観点でいくつかの選択肢から一定の方向を見いだしたい」と語った。「撤退は極端な一つの選択肢」とも語った。
被害を訴えている顧客への補償を早急に進めるとともに、16日に公表した再発防止策の徹底を進めることも強調した。