能登半島地震から1年、阪神大震災から30年がたち、災害の記憶に接する機会が多い1月。災害時、道具が不足した状況に役立つアイデアを、警視庁災害対策課がX(旧ツイッター)で紹介している。リンゴを素手で簡単に割るテクニックや、自転車の空気入れポンプを車のタイヤでも使う方法などを紹介。どれも知っておけばいざというときに役立ちそうなものばかりだ。
旅先で道具なくても簡単に
《実はリンゴは素手で半分に割れるんです》
同課の石坂哲也警部補(48)が、実際に手で半分に割った写真を添え、Xにこう投稿すると、驚いたとの反応が多数寄せられ、投稿を引用する「リポスト」は約1万件となった。
方法は簡単。まず①右手でリンゴを軽くつかみ、へたの上を親指でおさえる。次に、②左手の母指球(親指の付け根)を右親指の上あたりに重ね、リンゴ全体をつかむ。さらに、③両手でリンゴをぎゅっと握り、リンゴの底を支点に手で左右に開くようにして力を入れる。すると、きれいに2つに割れる。
石坂さんによると、こつをつかめば女性でも割ることができるという。自身が海外の救助訓練に参加した際、他の参加者から教わった。なかなか試す機会がなかったが、旅先でリンゴを家族で分けて食べる際に役立ったという。石坂さんは「知っておけば、災害で道具が十分にない避難所などでも活用できる」と話した。
タイヤパンクの応急処置に
自転車の空気入れポンプを自宅に置いている人もいるだろう。同課の加藤徹哉巡査部長(36)はXで、車のタイヤにも自転車のポンプを使って空気を入れる方法がある、と紹介した。
「以前、車に乗ろうとしたらタイヤがパンクしていて、修理に行くまで自走させられないかとインターネットで調べた」と加藤さん。書いてあった通りに自転車用のポンプで車のタイヤに空気を注入すると、しばらく走行できる程度の空気圧にまでできたという。
タイヤの空気注入口(バルブ)は、車に使われることが多い「米式」や、自転車に使われることが多い「英式」などの種類がある。自転車の空気入れポンプには、複数のバルブに対応できるものがある。また、手持ちの空気入れに器具(アダプター)を取り付けてタイヤに空気を入れるという方法もある。
加藤さんは「あくまで応急処置だが、災害時などに備えて用意しておくとよいのでは」としている。
はちみつ容器はこぼれない
《私は、ハンドソープなどをはちみつ容器に詰め替えて携行しています》
新潟県警から同課に出向してきている原田真宏巡査部長(28)はXでこう明かした。原田さんは趣味の旅行にお気に入りのハンドソープやボディーソープを持っていくが、適量を取り出しやすく、かばんの中などで漏れない容器を探し、100円ショップで見つけたのがはちみつの容器だったという。
「災害派遣の際も漏れなかった」と原田さん。中身の色が似ていると容器に入れたものが分からなくなるため、色違いのものを用意したり、ラベルを貼り付けたりして対応しているという。
こぼさず持ち運べれば災害時の衛生管理にも活用できそうだ。原田さんは「小さい子供がいる家庭では、誤って口に入れてしまわないように管理に気を付けてほしい」と呼びかけている。(橋本昌宗)