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南海トラフ地震臨時情報で防災グッズ売り上げ急増 「備え」は今度こそ定着するか

産経ニュース 2024年9月7日 23時12分

宮崎県沖の日向灘で発生したマグニチュード(M)7・1の地震を受け、気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表してから8日で1カ月になる。史上初めての発表にして1週間の警戒を呼びかけるという具体性も相まってか、関係者によると直後から防災グッズの駆け込み需要が急増した。首都直下地震も高い確率で起きるとされているなか、有事への準備は定着するのだろうか。

売り上げ16倍

内閣府中央防災会議の想定では、南海トラフ巨大地震が発生すれば、太平洋側の127市町村で震度7の揺れが起きる恐れがあり、79の市町村に最大10メートル以上の津波が襲来するとされている。想定される死者・行方不明者数は最大で約32万3千人、資産などの被害は年間の国家予算をはるかに上回る約169・5兆円…。気象庁は今回、初めて発表した臨時情報で、巨大地震の発生確率が「相対的に高まった」として29都府県の住民に1週間の警戒を呼びかけたが、これを受け、途方もない災害が近いうち起きるかもしれないと受け止めた向きも少なくなかったのかもしれない。

大手通販サイト「au PAYマーケット」を展開するauコマース&ライフ(東京都渋谷区)によると、気象庁が巨大地震に対する臨時情報を発表した直後、サイト内では非常食などの売り上げが顕著な伸びを見せ、警戒が呼び掛けられている最中の8日から15日までの1週間のデータを集計したところ、防災関連グッズ全体では発表前の16倍に増加していた。同社の担当者は、「ランタンや携帯トイレといった、避難生活を支える商品をひとまとめにした『防災バッグ』が特に売れている」と話す。

ただ、この防災グッズ、同時に世の中が日常を取り戻したころには急速に存在感を失う「喉元過ぎれば~」の典型という声も聞こえてくる。そうならないためにどうしたらよいか。危機管理アドバイザーとして20年以上にわたり活動する、危機管理教育研究所代表の国崎信江さんは「普段から『これは災害時も使えるかも』という観点でモノ選びをしたい」と提言する。

カスタム化忘れず

一例として挙げるのが、国崎さん自身も愛用しているという蓄電機能を持つ照明器具。日常使いをしつつ、停電が起きたときも明かりを確保できるといった「生活になじみながら、いざというときに役に立つものを身の回りに多く置いておくことが重要」なのだという。

さらに今回、売れ筋となっている防災バッグ。購入状態で詰められているグッズに追加して、国崎さんは「使い捨てコンタクトレンズや肌の弱い人は化粧水など、自分に必要なものをきちんと収め、個人仕様にカスタマイズすること」と念を押す。

南海トラフ巨大地震だけでなく、東京ではM7クラスの首都直下地震も30年以内に70%の確率で起きるとされている。結果的には警戒していた巨大地震は起きずに終わったが、人々に大きなインパクトを与えた今回の臨時情報。やはり、ここはひとつ「備え」のきっかけとしたい。(宇都木渉)

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