Infoseek 楽天

被災しても販路拡大目指す 石川県事業者が国際見本市、米大統領夫妻贈呈の輪島塗カップも

産経ニュース 2024年9月4日 18時56分

能登半島地震で被災した工房を含む石川県の事業者27社の新商品が、4日に開幕した日本最大級の国際見本市「東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2024」に出展されている。会場の東京ビックサイト(東京・有明)には、山中塗や九谷焼などモダンにアレンジされた伝統工芸品に加え、岸田文雄首相が4月に訪米した際、バイデン大統領夫妻に贈った輪島塗のコーヒーカップも展示されている。工房が地震で全半壊するなど甚大な被害を受けつつも、被災地の作り手は新商品を開発し、販路拡大を目指している。

会場には、インバウンド(訪日外国人客)向けにゴールドなど豪華な彩色を施した九谷焼・吉右衛門窯のオリジナル商品や、色の経年変化を楽しめるという木製プレート、電子レンジ対応の木製「曲げわっぱ」弁当箱などが公益財団法人「石川県産業創出支援機構」(ISICO)のブースに並ぶ。4日の開幕日は、石川の店舗関係者が首都圏や海外などのバイヤーにアピールしていた。

ギフト・ショーは6日まで開かれる。出展作品の一部は3月に開設した石川県の食品や工芸品、地酒などを扱うJR東京駅近くのアンテナショップ「八重洲いしかわテラス」で7~9日に限定販売を予定する。

「岸田首相は動いた。新総裁も能登に注目して」

輪島塗のコーヒーカップを手掛けた田谷漆器店(輪島市)は地震で事務所棟や工場が倒壊し、完成間際の新ギャラリーも焼失した。漆器や材料もがれきに埋まったという。代表の田谷昂大さん(33)は、2月24日に輪島市を訪れた岸田文雄首相と伝統工芸の職人らと車座対談に参加した。政府から米大統領夫妻への贈呈品の作成依頼を受けたのは3月上旬だった。

田谷さんは「創造的復興」を掲げている。産経新聞の取材に「メチャクチャだった所が少しずつ人が住めるようになった。行政の人も含めて、復興に向かって誰一人手を抜いていない。僕らは感謝しかない」と述べ、「民間の一企業として、能登の商材をしっかり世界に出していく。そこで人も(能登に)来てくれる。作ることが大事だ」と強調した。

自民党総裁選(12日告示、27日投開票)を巡っては、「岸田首相は輪島に来るたびに政府としてやれる(復興支援に向けた)オプションを持ってきてくれて、直接話した一人として温かみを感じた。自分たちではできない、力を借りないと動かせない所は動いているのではないか。新しく自民党総裁になる人も岸田首相と同じように、能登に注目し、復興に尽力してくれたらありがたい」と訴えた。(奥原慎平)

この記事の関連ニュース