8月に初めて発表された南海トラフ巨大地震の臨時情報を受けた対応について、対策推進地域の都府県の約4割、市町村の約6割が「戸惑うところもあった」と回答したことが26日、政府の調査で分かった。鉄道など指定公共機関の約4割も同様に回答した。調査結果は同日開かれた南海トラフ地震対策推進基本計画の見直しを進める政府作業部会に提出された。
調査対象は南海トラフ地震で震度6弱以上か津波高3メートル以上と想定される、関東から南西諸島にかけての29都府県707市町村で、全都府県と571市町村が回答した。
調査に対し、「制度を十分認知しており速やかに対応できた」と回答した都府県は約半数、市町村は約2割にとどまった。一方で「一定の認知はあったが戸惑うところもあった」とした都府県は約4割、市町村は約6割に上った。
市町村のうち57は「制度を認知しておらず何をするべきか分からなかった」とし、16は「名称も認知していなかった」と答えた。
災害対策本部を設置したのは全都府県と市町村の約7割。避難情報を発令した市町村は5、避難所の開設は30だった。
臨時情報への措置を聞いたところ、イベントを中止または延期した都府県は4、市町村で37。多くの自治体が職員連絡体制の確保、宿日直体制の強化のほか、備蓄や避難所開設手順の確認を行った。
対象地域で事業展開する事業者への調査では、鉄道など69指定公共機関と指定外の運輸、観光業など337業者が回答。「制度を十分認知している」と答えたのは指定機関で約5割、指定外は約15%のみだった。
南海トラフ地震臨時情報
東海沖から九州沖の海底の溝状の地形で巨大地震の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。令和元年から運用開始。想定震源域で一定規模の地震が起きるなどした際、有識者の評価検討会が判断する。マグニチュード(M)8以上と評価されると「巨大地震警戒」で沿岸住民らは1週間の事前避難を求められる。M7以上、M8未満では「巨大地震注意」が出される。