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シーズン本格化の8月も「上陸」はいまだゼロ 今年の台風傾向、令和2年の状況と類似

産経ニュース 2024年8月8日 15時22分

台風の発生数が例年、最も多い8月。8日には、小笠原諸島の南の熱帯低気圧が台風5号に変わった。一方で、これまでに「上陸」はなく、ここ数年をみても平年並みか少ない傾向。今年は、年間を通じて上陸ゼロだった令和2年と、状況が類似しているとの見方もある。

ラニーニャ現象が影響

気象庁のデータでは、台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合の「上陸」数は、令和5年が1個、4年3個、3年3個、2年がゼロだった。

一方、元年以前では、元年5個、平成30年5個、29年4個、28年6個。過去30年平均の上陸数は3・0個で、全体としては減少傾向にある。

民間気象会社「ウェザーニューズ」は、平均数未満だった令和5年と2年について、「それぞれの年の環境要因によるもの」と分析。2年は、東からの強い貿易風で暖かい海水がいつもより西側のフィリピン近海に蓄積。伴って南米・ペルー沖の海水温が平年より低くなる「ラニーニャ現象」が、夏場に起きた。

その結果、西寄りのフィリピン近海が主な台風の発生エリアとなり、その後の進路も、日本を離れた大陸側(日本の西側)になることが多かった。

上陸したのが8月の「台風7号」のみだった5年は、そもそも発生数が少なかった。年間17個(平年値25・1個)は、統計開始以来、3番目の少なさ。9月以降は5個で、これは統計開始以来、最少だった。

フィリピン近海での気圧の谷(モンスーントラフ)が平年より弱く、対流活動が不活発だったことが影響したとみられるという。

備えは必須

今年はどうか。

気象庁は、これから秋にかけてラニーニャ現象が発生する確率が高いと予報。2年の状況と類似性があり、今年も上陸数は少ない可能性がある。

今月8日未明に発生した台風5号は現状、小笠原諸島・父島の南の海上をゆっくりとした速さで東北東に進んでいる。今後、日本の東を北上する見込みで、週末の3連休にかけて北日本の太平洋側を中心に雨や風の影響が出る可能性がある。上陸の可能性は不透明だ。

台風の月別発生数(平年値)では、8月が5・7個で1年のうちで最も多く、9月が5・0個で続く。

ウェザーニューズ担当者は、「これからが本格的な台風シーズン。上陸しなくても、広い範囲にさまざまな被害をもたらす恐れがあり、早め早めに準備を整えてほしい」としている。

(中村翔樹)

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