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「必ず会えると信じている。諦めない」中3女子生徒不明、父や友人が捜索 能登豪雨1週間

産経ニュース 2024年9月28日 19時6分

石川県の能登半島を21日に襲った記録的豪雨では、行方の分からない人たちの捜索が各地で続いている。28日で発生から1週間が経過したが、輪島市久手川(ふてがわ)町の自宅近くの川に流されたとみられる中学3年の女子生徒も、いまだ安否が分からないまま。「見つかるまで諦めない」。捜索に加わった父親は娘との一日も早い再会を待ち望む。

「少しでも早く見つかってほしい、その気持ちだけ」。21日の豪雨で自宅ごと流され、安否不明となっている中学3年、喜三翼音(きそはのん)さん(14)の父、鷹也さん(42)は28日、報道陣の取材に苦しい胸の内を明かした。

豪雨から1週間となったこの日の捜索は、消防や警察、自衛隊など計約530人態勢で午前6時から始まった。捜索には鷹也さんら翼音さんの家族や友人らも参加。自宅脇を流れる塚田川の下流を中心に、警察とともに大量の流木をかき分けながら、少しでも発見につながる手掛かりがないか捜した。

豪雨となった21日午前、家族が外出して自宅に一人でいた翼音さん。2階の自室から鷹也さんにLINE(ライン)で《下が海のようになっていて逃げられない》《部屋のドアが開かない》と訴え、午前10時過ぎには連絡が取れなくなった。昼過ぎに鷹也さんが急いで帰宅したが、自宅は基礎部分だけを残して川に流されていた。

以来1週間、寝る前や一人の時間があると「どうしても娘のことを考えてしまう」という鷹也さん。これまでの捜索で、翼音さんの靴が自宅から約1キロ離れた塚田川河口付近の海岸で見つかり、28日には外出時に使っていたスカートが河口付近にかかる橋の辺りで見つかったことも分かった。こうした状況に、鷹也さんは「そろそろ(翼音さんが)見つかってくれるのではないかという思いになる」と話す。

塚田川の河口付近では28日朝、翼音さんと同じ中学に通う中1の女子生徒(12)も、母親とともに不安そうに捜索を見守った。小学校の学童保育では、翼音さんから勉強を教えてもらったり、宿題の丸付けをしてもらったりしたという。

女子生徒にとって「優しくて明るいお姉ちゃん」だったという翼音さん。安否がいまだ分からない状況に、生徒は「一日も早く見つかり、家族のもとへ帰ってほしい」と訴える。

この日の捜索でも翼音さんの姿は確認できなかったが、鷹也さんは連日の捜索に汗を流す警察や消防に謝意を示し、声を振り絞った。

「これだけ大勢の方が一生懸命捜索してくれているので、必ず見つかると思う。必ず会えると信じているので、見つかるまでは諦めません」

(木下倫太朗)

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