能登半島地震による大規模火災で甚大な被害を受け、再開できていない石川県輪島市の「輪島朝市」の出張開催が行われている市内の商業施設は31日、正月用の食材や切り花を求める買い物客でにぎわった。
商業施設の一角に朝市のシンボルであるオレンジ色のテントが並び、海産物や干物、野菜、輪島塗などを販売する約30店が出店。地元住民らが店主との会話を楽しみながら目当ての品を買い、互いに「良いお年を」とあいさつを交わしていた。
同市の西口君子さん(89)は葉ボタンやセンリョウを手に、「地震で家が壊れたので正月という感覚はないが、煮しめやブリのなますを作りたい」と話した。雑煮用の餅や果物を並べた田中そとえさん(75)は「健康で働けたことに感謝。来年も頑張りたい」とほほえんだ。
この商業施設では、7月から出張輪島朝市を開催。輪島朝市組合の冨水長毅(とみずながたけ)組合長(56)は「店を出していた朝市通りが復興するまで出張朝市を続けたい」と話した。