元日の新聞各紙の1面のトップ記事は例年、華やかなスクープや骨太なテーマでの連載企画が掲載される。令和7年、東京に本社を置く新聞各社では、中国海軍が台湾有事に備えたとみられる不穏な動きの独自記事、ブロック経済化が加速しかねない世界の現状に警鐘を鳴らす企画記事、能登半島地震1年に合わせ、死去した父親に寄せた花嫁の思いなどが1面を飾った。
夫婦別姓 小中生の半数反対
産経新聞は、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、全国の小学4年~中学3年の児童・生徒約2000人に世論調査を行った結果、ほぼ半数が「家族で名前が変わるのは反対」と考えている実態を報じた。
夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、「反対」が49・4%で「賛成」16・4%の約3倍だった。
記事によると夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めてという。
中国、宮古海峡で封鎖演習
読売新聞は、中国海軍と海警局が令和6年12月に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡などで海上封鎖と似た活動を行い、重武装した海警船団を尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に派遣していたという独自ダネを報じた。
ともに初めて確認された活動で、中国側が台湾有事の際に海上封鎖の範囲を尖閣周辺などに拡大させる可能性が指摘されるという。
デジタルで問う「真の民意」
毎日新聞は、戦後80年の節目に合わせて「デモクラシーズ これまで これから」と題した連載企画の掲載を始めた。最新のデジタル技術を生かして民主主義を「アップデート」させる取り組みなどを紹介する。
この日はスタートアップ企業が構築したオンラインプラットフォームを用いて自治体が設定したテーマに対し市民が意見やアイデアを投稿することで、施策を実行する上での民意が合意形成されるあり方などを紹介した。
強まる自国第一
日経新聞も企画記事を掲載し、「逆転の世界 備えよ日本」と題した。多様性の価値観を重視していた米国など民主主義国で国民の分断が進み、独裁色の強い為政者が生まれやすくなっていると指摘。局地的な紛争を含めて国家間の紛争が戦後最悪の状況にあると訴え、供給網や販売網の再構築が不可欠になると警鐘を鳴らした。
つながり 耕す 能登と一緒に
朝日新聞は、被災地でボランティアの受け入れ拠点となった石川県輪島市のレストランの1年を取り上げた。延べ3432人のボランティアが活動したことなどを踏まえ、地方の人口減と高齢化が深刻な社会課題となる中、居住地とは関係なく継続的に訪れる「関係人口」の拡大について考察した。
招待状「おとう」へ届け
東京新聞も、取り上げたのは能登半島地震1年だった。地震で倒れた家具が胸に当たり、55歳で亡くなった輪島塗蒔絵師の父親に向けて、結婚式を今年5月に控えた27歳の長女の思いと葛藤を描いた。式の中身はまだ決まっていない。ただ、父の席と食事を用意することは決めているという。