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「速やかな初動、阪神からの教訓」 陸自中部方面総監部の堀田秀成・幕僚副長

産経ニュース 2025年1月13日 20時14分

災害時に最前線で人命救助などにあたる自衛隊。30年前の阪神大震災以降も各地で災害が相次ぎ、近い将来には南海トラフ巨大地震の発生も予期され、支援活動への国民の期待はますます高まっている。東海、北陸、近畿、中四国の2府19県を管轄し、昨年元日に起きた能登半島地震でも被災地で活動した陸上自衛隊中部方面総監部の堀田秀成・幕僚副長(54)に災害時の活動方針などを聞いた。

--能登半島地震では現地で半年以上活動した

「延べ114万人の隊員を派遣し、昨年1~8月の244日間で災害派遣任務を完遂した。道路が寸断され、避難所へ移動できない高齢者もいたが、隊員は荷物を背負って山を越えて物資を運んだり、安否確認をしたりした。普段の訓練の成果が発揮できた。私自身も1月2日以降、石川県庁に入り、自治体や政府の現地対策本部とさまざまな調整をしてきた」

--南海トラフ地震にどう備えるか

「広範なエリアで地震と津波の両面に対する迅速な対応が求められる。発生時に速やかに現地で活動する『ファスト・フォース』と呼ばれる部隊が常時、各駐屯地などに待機する体制を取っている。自治体や関係機関と連携し、人命救助を最優先の活動としつつ、道路の復旧や入浴など被災者に寄り添った生活支援もしていく」

--災害活動では重視していることは

「能登半島地震では孤立地域が多く発生し、対応してきたが、①収集情報の共有②人命救助③生活インフラ支援④陸海空全ての輸送手段を利用した物資人員輸送-の4つのポイントを重視した。南海トラフ地震も孤立地域が広範に発生すると想定され、4つのポイントを踏まえた初動対処が極めて重要となる」

--南海トラフ地震に具体的にどう対処するのか

「紀伊半島の海沿いで道路が寸断された場合に備え、奈良盆地から海岸部にアクセスするルートを現地確認したり、各地の自衛隊地方協力本部から道路や橋が大丈夫かといった情報を報告してもらう枠組みも整えている。海上自衛隊の船からヘリコプターで展開したり、水陸両用車で海から上陸したりするほか、ドローンで物資を送る方法なども想定している」

--阪神大震災では自衛隊と被災自治体との連携不足も指摘された

「災害時、知事などから要請を受けて活動をしているが、災害時に備えた自治体との連携は平素から必要で、各府県や市町村とのコミュニケーションを部隊ごとに取っている。災害時に庁舎のスペースに自衛隊が展開する際の申し合わせや連携を確認する訓練も行っており、阪神の教訓から速やかな初動につなげている。いかに厳しく過酷な状況でも、必ず任務を完遂するという強い決意と覚悟であたる」(聞き手 秋山紀浩)

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