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米フロリダのドーム球場の屋根はなぜ暴風で吹き飛んだのか 日本のドームで起きる可能性は

産経ニュース 2024年10月17日 13時24分

9日に米フロリダ州に上陸した大型ハリケーン「ミルトン」は、同州にある大リーグ、レイズの本拠地ドーム球場「トロピカーナ・フィールド」の屋根を大破させた。15日の地元紙によると、来季の開幕までに復旧が間に合わない見通しで、被害は甚大だ。球場の屋根は最大115マイル(約185・1キロ)の風にも耐えられるよう設計されていたというが、なぜ吹き飛ばされたのだろうか。

中から吹き飛ばされたか

1990年に開場した同球場は、世界最大のケーブルで支えられたドーム形屋根を備えた密閉式ドーム球場だ。レイズのガイドなどによると、ドーム状の屋根は「半透明の(軽量で強度の高い)テフロン加工グラスファイバーで作られ、支柱でつながれた180マイルのケーブルで支えられている」という。

傾斜した屋根は最大時速115マイルの風にも耐えられるように作られているが、京都大学防災研究所の森信人教授は、「ワイヤでドームの幕を上に引っ張っている構造で、ドーム球場の中に風が吹き込んだことにより中から外に吹き飛ばす力が働き、屋根が飛ばされたケースが考えられる」と分析する。

球場内に風が吹き込んだ原因については、「暴風でドームの幕がめくれた部分から風が入り込んだ可能性と、暴風で破壊された壁面やドアなどから入り込んだ可能性がある」という。

東京ドームは大丈夫だが…

東京ドームをはじめ、日本にもトロピカーナ・フィールドのような密閉式ドーム球場は点在しているが、ハリケーンのような暴風で屋根が吹き飛ばされる可能性はあるのか。森氏は「東京ドームは球場内の気圧を上げてドームの生地を膨らます形式で、建物の気密性が高く、外の風が入り込むことへの防御レベルが高い」ため、吹き飛ばされる可能性は低いと説明する。

ただ、「絶対に吹き飛ばされないとも断言できず、日本は安全と思い込むのは危険だ」と警鐘を鳴らす。

特に1988年に国内初のドーム球場として誕生した東京ドームは、耐用年数とされる約30年を超えて運用されており、老朽化が懸念されている。森氏は「今回のフロリダの被害を参考に、一度点検することが大事だ」と指摘する。(西村利也)

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