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福島第1原発、事故後初のデブリ採取開始 作業ミスで延期も廃炉実現へ一歩

産経ニュース 2024年9月10日 10時6分

東京電力は10日、福島第1原発事故後初となる溶融燃料(デブリ)の取り出しを2号機で開始した。今回は試験的に3グラム以下を採取し、政府と東電が目指す全量回収に向けた工法などの検討に生かす。計画より約3年遅れのスタートになったが、最難関の工程とされるデブリ採取に着手したことで廃炉は実現に向けて一歩前進した。

試験採取は当初、8月22日に開始する予定だったが、準備段階でミスがあり、初日で作業を中断。手順などを見直し、ようやく再開にこぎ着けた。政府と東電は2051年までに廃炉の完了を目指すとしているが、想定通りに進むか見通せない状況が続いている。

東電によると10日午前6時34分に作業を開始。同7時20分、原子炉格納容器の貫通部手前で放射性物質を遮断する「隔離弁」を回収装置が通過した。東電は隔離弁を開いて装置を通過させた時点で「取り出し開始」としている。

計画では、貫通部に最長約22メートルに伸びるパイプ装置を差し込み、先端に取り付けた爪形の金属器具を釣り糸のように垂らして3グラム未満のデブリをつかむ。装置がデブリに到達するまでに1週間程度、回収までにさらに1週間程度を見込むが、作業ミスを防ぐため日程が長引く可能性もある。

炉心溶融(メルトダウン)した1~3号機には推計880トンのデブリが存在する。東電は採取したデブリを分析し、数年かけて段階的に取り出し規模を拡大する計画だ。政府が定めた廃炉工程表「中長期ロードマップ」では、今回の採取開始で工程の最終盤に当たる第3期に入ったことになる。

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