長かった夏も終わり、ときには肌寒さも感じられるようになった。警視庁災害対策課のX(旧ツイッター)アカウントは、避難生活の寒さ対策に役立つ新聞紙スリッパの作り方や、血行を良くする足裏のマッサージ方法を紹介。また、保存食「アルファ化米」のおいしい食べ方も提案するなど、もしもに備えて覚えておきたいアイデアがめじろ押しだ。
新聞紙でスリッパ
《避難所で役立つアイテムに新聞紙で作るスリッパがあります》
こう投稿したのは、同課の福本龍太郎巡査長(29)だ。今年1月の能登半島地震で寒い中、避難生活を送る被災者を見て、「役立つアイデアはないか」と調べて、スリッパに行き当たったという。
作り方は簡単で、のりやはさみも不要。新聞紙を折っていくと、つま先に程よく厚みのある簡易スリッパが出来上がる。「使い心地は結構良い」と福本さん。足を保温して冷えを防ぎ、床に落ちているものを踏んで足裏が負傷するのを防ぐこともできる。あらかじめ作って枕元に置いておけば、いざというときにすぐ履ける。底の部分に段ボールなどを入れて補強するのも、おすすめだという。
ボールで血行促進
災害時、狭い場所で寝起きしなければならない避難所生活や車中泊で注意したいのが、「エコノミークラス症候群」だ。足を長時間動かさないでいると、血行不良が進んで血栓ができ、それが流れて肺の血管に詰まる。最悪の場合、死に至ることもある。
内山和也巡査長(37)は同課のXで、血行不良を防ぐため身近なもので足の裏をマッサージする方法を紹介。ゴルフボールは円を描くように、瓶は前後に転がすようにしてマッサージする。「ラップの芯」も同様に使える。
力加減を自分で調整できるのも利点の一つ。瓶を使う際は、割れないように「毛布や段ボールを敷くとより安心」(内山さん)だ。
保存食の味変には
水やお湯を入れることで、おいしくご飯が楽しめる「アルファ化米」。災害に備えた保存食の定番だが、食べ飽きてしまうこともある。
《何日も続くとやはり味変がほしい。そんなとき、サバの缶詰を入れて食べてみたところこれが予想以上のおいしさ。栄養も十分に摂(と)れて言うこと無しです》
同課の丸目辰徳警部補(40)はXにこう投稿し、好みに合わせて風味を変える「味変」を提案した。湯などで戻したアルファ化米に、缶詰の具を加えるだけというお手軽さだ。
きっかけは災害現場に派遣された際、缶詰のサバをアルファ化米に入れてみたこと。「何か変化がほしいと思って試しにやってみたらおいしかった」
サバ缶だけではなく、「かば焼き系はどれもおいしい」と丸目さん。濃い味が適しているという。家庭でも、備蓄食の入れ替えの際、試してみてはどうだろう。(橋本昌宗)