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「土煙がもうもう」漁港近くで30メートルにわたり崖崩落 津波の不安も 鹿児島・志布志

産経ニュース 2024年8月9日 18時20分

「白い土煙がもうもうと上がり、緑の葉が宙を舞っていた。こんな光景は初めてだ」

強い揺れとともに高さ約50メートルの崖が約30メートルにわたり大きく崩落した現場の近くに住む清家直樹さん(52)は、当時の様子をこう振り返る。

最大震度4を記録した鹿児島県志布志市の志布志漁港近くにある小浜地区。清家さんは、80代の母親と外出先から帰宅した直後に大きな縦揺れに襲われた。収まった直後に自宅裏の崖を見上げると、緑の樹木とともに表土が剥がれ落ち、火山灰などが堆積した「シラス台地」特有の土がむき出しになっていた。「発表は震度4だが、体感としてはそれ以上に揺れた」と明かす。

余震や雨の影響で被害が拡大するのを防ぐために市は、現場近くに住む約40世帯に避難指示を出した。清家さんも避難場所となった市役所に家族とともに身を寄せ、非常食、水などの提供を受けながら落ち着かない一夜を過ごした。9日に帰宅した清家さんは崩れた崖を指さしつつ、「上の方にはひびが入っているそうだ。これから台風シーズンを迎える。とても心配だ」とやつれた表情を見せた。

地震直後、志布志市の海岸沿いには津波注意報が発令され、志布志港では約20センチの津波が観測された。

近くで遊漁船業を営む後藤秀樹さん(66)の自宅では、揺れによって戸棚からコップや皿などが落下した。片づけは終えたものの、8日に気象庁が発表した南海地震臨時情報が気がかりだ。「南海トラフ巨大地震が来たら、大きな津波が来るのではないか。何もないことを祈るばかりだ」と話していた。

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