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南海トラフ「巨大地震注意」、にぎわう関東の行楽地で備えは? 津波避難タワーも

産経ニュース 2024年8月11日 21時0分

宮崎県で震度6弱を観測した地震で、南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)が初めて発表され、東日本でも遊泳禁止措置を取る海水浴場が出るなどしている。実害がない中で事業者や観光客の手探りの対応が続くが、〝その〟時には、どうすればよいのか。津波被害が予想される神奈川県の人気観光地の鎌倉や湘南エリアで「実情」や「対策」を探った。

「怖いけど、危機感は薄い」

お盆休みのまっただ中となる11日は好天に恵まれ、JR鎌倉駅は観光客らであふれ、普段通りの様相を呈していた。しかし、鎌倉駅周辺は海から続く低地に位置。大地震が発生すれば駅前まで津波が襲う。観光で訪れた50代の夫婦は「地震は怖いのは怖いけど、危機感は薄い」と話す。

«鎌倉市によると、南海トラフでは最大10メートルの津波が来るとされ、到達時間は34分。震源が違う別の地震では到達まで8分という想定もある。車では渋滞に巻き込まれる恐れもあるため避難の鉄則は「徒歩」。市は、観光客らを海抜の高い場所に誘導するため看板や路上に「津波避難経路」を掲げている»

駅周辺(海抜約6メートル)の「二の鳥居前交差点」近くから避難誘導経路を進むと、目標地点の鶴岡八幡宮(約11メートル)までは約510メートルで、人混みの中でも6分半ほどで到着した。

津波襲来までは、十分に間に合いそうだが、高齢者や子供連れとなるとどれだけ時間がかかるかは分からない。家族6人で東京都世田谷区から鎌倉を訪れた会社員の40代女性はベビーカーに2歳の子を乗せていた。「大丈夫であってほしいが、人混みでも、すぐ避難できるように抱っこひもも持ってきた」と不安を口にした。

赤と白の「津波フラッグ」

一方、海水浴場も目立った客足の変化はないというが「有事」への備えは続けられている。

神奈川県藤沢市の片瀬西浜・鵠沼(くげぬま)海水浴場では当面にわたって市内で揺れを観測した場合、利用客を海から引き揚げさせる運用を取る。津波注意報などが出た際には、赤と白の「津波フラッグ」で利用者に危険を知らせる措置も取られるという。

«藤沢市は海水浴場と接する新江ノ島水族館や道を挟んで反対側にある建物を地震による津波が来た際に緊急避難できる建物に指定。有事にはそこへ誘導する»

付近には、津波避難タワーもあった。タワーの最上部のステージは海抜12・5メートルで、最大で7メートルとされる津波には十分対応できる。ただステージの収容人数は限られる。

市によると、この海水浴場の昨年7月1日~9月3日の利用者は100万人超。周辺の避難施設に分散する必要もあり、混乱を招く恐れもある。

大きな地震が発生すると、海から離れ、できるだけ高い場所を歩いて目指すことになる。それは土地勘のない場所でも同じだ。藤沢市の担当者は「(観光で訪れる人らも)公表しているハザードマップを確認するようにしてほしい」と話した。(宮野佳幸)

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