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能登地震、半島の地理特性や過疎化で対応困難 備蓄確保、官民連携が重要に 政府検証

産経ニュース 2024年11月26日 15時22分

能登半島地震への対応を検証している政府作業部会(主査・福和伸夫名古屋大名誉教授)は26日、今後の災害対応の方向性をまとめた報告書を公表した。孤立しがちな半島の地理特性や高齢化地域の特性を踏まえ、避難生活のための事前備蓄や官民連携の重要性を指摘した。報告書は同日開かれる南海トラフ巨大地震の対策推進基本計画見直しを進める別の作業部会に報告される。

福和主査から26日、報告書を受け取った坂井学防災担当相は「南海トラフや首都直下地震にも対応できる体制を取っていきたい」と応じた。作業部会は6月から10回開かれ、有識者ら48人から聞き取りを実施した。

能登半島地震では路面崩壊などで陸路が寸断され、孤立集落が多数発生するなど応急対応が難しかった。過疎化や高齢化の進む地域で支援が行き届かず、避難生活の環境が悪化。直接死を上回る230人以上が災害関連死と認定された。

こうしたことから報告書は被災者支援を柱の一つとし、速やかな炊き出しが可能な設備の促進や簡易トイレなどの備蓄確保、入浴支援を行うNPOなどとの事前協定、民間のキッチンカーやトイレトレーラーなどの事前登録制度を提示。調達や運搬に時間のかかる調理設備や入浴資機材は各地での分散備蓄を示した。

また、在宅避難者や車中泊の避難者を把握するため、避難所という「場所への支援」から避難者という「人への支援」へ考え方を転換。災害関係法であいまいな「福祉」の位置付けを明確にする方向性を盛り込んだ。

前提には、災害対策基本法で対応の一義的責任を負う市町村には、人員的にも財政的にも限界があるとの認識がある。そこで司令塔機能の強化や備蓄状況の調査など政府の対応強化と合わせ、民間団体の事前登録制度などボランティアや企業との官民連携を大きく進める方向性を明確にした。

半島や過疎地などの地域特性は全国どこにでもあり、今回と同じ直下型地震はどこでも起きる。報告書をまとめた福和主査は「過疎地にも関係人口の形で都会の人が関わることで災害対応力は自ずと上がる。この国のあるべき姿を考えるきっかけになる」と話した。

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