政府が、地域の企業再生支援を行う官民ファンド「地域経済活性化支援機構(REVIC)」の事業目的に、災害被災地の企業再生を明記する関連法改正案をまとめたことが19日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。業務期限も15年間延長する。昨年1月に起きた能登半島地震の支援を継続し、南海トラフ地震などの大規模災害に備える狙いがある。改正法案を今年の通常国会に提出、成立を目指す。
REVICは日本航空などの事業再生を担った企業再生支援機構を前身に平成25年に設立。中小企業の事業再生と地域活性化支援を主な目的とし、昨年2月末時点で54件、2012億円のファンド実績がある。
これまで28年の熊本地震、30年の西日本豪雨、令和元年の東日本台風で支援を実施。能登半島地震では総額100億円の復興支援ファンドを石川県などと共同出資し、いわゆる二重債務問題などで資金繰りに苦しむ被災企業支援を開始した。
ただ、復興支援ファンドの存続期間が最長18年間なのに対し、REVICは現行法で令和12年度末に事業終了期限を迎える。今後も切れ目なく能登地域の支援を継続するためには期限延長が必要な状況だった。
また、関連法で定めた事業再生支援の基準には被災企業についての記載が特になかった。改正法案にはREVICの事業目的に「大規模な災害を受けた地域の経済再建」を追加し、被災支援に関する事項を明確化する。
合わせて、REVIC解散時の財産分与について「損失は官民で案分」とした現行法を改め、残余財産は民間を優先して出資元本まで分配した上で、残りを政府が受け取ることとする。
近い将来予測される南海トラフ地震や首都直下地震など経済損失が数百兆円に上るともされる「国難」を見据え、政府としては被災企業を積極的に支援する体制を整えておく。