今年元日の能登半島地震から10カ月となる中、地震により起きた石川県輪島市の「輪島朝市」周辺での大規模火災を受け、総務省消防庁は31日、地震の揺れを感知すると電気を自動的に遮断する「感震ブレーカー」の普及に向けた検討会の初会合を開く。輪島火災の出火原因として電気に起因する可能性が指摘されるなどしたことから、普及を進めるためのモデル計画などを話し合う。
輪島火災は1月1日夕に発生。消防庁によると、東京ドームの面積を上回る約4万9千平方メートルが焼失した。出火原因として、地震の揺れにより住宅の電気系統が傷つき、ショートした可能性が指摘された。
停電からの復旧後に漏電などにより起きる「電気火災」は、阪神大震災や東日本大震災でも火災の原因となった。感震ブレーカーは電気火災を減らす効果があるが、認知度の低さや価格の高さから、全国の設置率は内閣府の令和4年の世論調査で5・2%なのが現状だ。
量販店で3千円程度から買える簡易タイプもあるものの、工事が必要な本格タイプは設置に2万~8万円程度かかる。自治体も助成を行っているが、内閣府による元年の調査で全国7府県・130市区町村にとどまっている。
今回の会議では、こうした課題を受け有識者や関係省庁などが普及策を検討する。
一方、住宅用の火災警報器は平成23年から、消防法により寝室の天井などへの取りつけが義務づけられ、消防庁によると設置率は今年6月1日時点で84・5%に達している。交換義務はないが、消防庁は安全のため、10年を目安に取り換えるよう推奨している。