政府は1日、防災行政を担う内閣府防災部門の人員や予算を抜本的に強化する「防災庁」の設置へ向けた準備室を発足させた。令和8年度中の設置へ向け、職員20人体制で組織体系や予算規模などを検討する。南海トラフ巨大地震などが迫る中、態勢強化を急ぐ。
「いま行政の中でも最も重要な職務の一つと言っていい、この仕事にあらん限りの力を結集して取り組んでほしい」
防災庁設置準備を担当する赤沢亮正経済再生担当相は1日の訓示で職員を前にこう力を込めた。
石破茂首相は防災庁の役割として災害対応の司令塔機能のほか、避難生活環境の整備、被災地支援などの官民連携体制構築、デジタル化による情報収集効率化を掲げた。
同室は阪田渉内閣官房副長官補を室長とし、内閣官房や内閣府職員、各省の出向者を含む計20人体制。来年の経済財政運営指針「骨太の方針」や8年度予算の概算要求に必要事項を反映させる。
現在、内閣府防災部門は地方自治体の出向者約40人を含む計150人体制だが、大規模災害時には全員で対応に当たる。1月の能登半島地震の影響で、当初は今春めどだった南海トラフ地震の基本計画見直しは半年以上遅れている。
予算額は令和元年度以降、70億~80億円でほぼ横ばいで推移している。だが、国の備蓄拠点は現状1カ所のみで能登半島地震では簡易トイレなどの物資不足が深刻化した。ボランティア支援などの体制整備も遅々として進んでいない。
石破政権は防災庁専任大臣を置く考えだが、準備室は防災庁の具体的な機能や、必要な予算額などについて各省庁の意見集約を進める方針だ。