花鳥画の第一人者で文化勲章を受章した日本画家の上村淳之(うえむら・あつし=本名・淳=あつし)氏が1日、老衰のため奈良市の自宅で死去した。91歳。通夜は2日、葬儀・告別式は3日に行った。
美人画の巨匠で、女性初の文化勲章受章者、松園(しょうえん)を祖母、同じく文化勲章を受章した花鳥画の松篁(しょうこう)を父に、昭和8年、京都市に生まれた。京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)に進んで日本画を学び、父と同じ花鳥画の道へ。
愛鳥家で、多くの種類の鳥を育て、観察することで、自然との共生を大事にする日本人の温かな感性を絵にこめる独自の画風を確立させた。代表作に「晨Ⅰ・Ⅱ」など。
後進の指導にも熱心で、昭和59年に京都市立芸術大学教授、平成11年に退官後、名誉教授。同年、京都市文化功労者。
文化財保護にも力を注ぎ、文化庁平城京跡復元事業や京都・祇園祭大船鉾の天井画などにも取り組んだ。25年に文化功労者、令和4年に文化勲章を受章した。