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死去の徳田虎雄氏、鳩山由紀夫政権退陣の一因にも 目を引いた大量に水をかぶる政党CM

産経ニュース 2024年7月11日 12時45分

元衆院議員の徳田虎雄氏が10日夜、死去した。86歳だった。日本医師会と対峙しながら全国に医療法人「徳洲会」の病院網を張り巡らせた剛腕ぶりは政治分野でも光り、平成22年には米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に悩む鳩山由紀夫首相(当時)からの協力要請を断って政権瓦解の一因を作ったこともある。ただ、晩年は難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)に苦しむ最中に、公選法違反(買収など)事件で東京地検特捜部の強制捜査を受けるなど、波乱の生涯だった。

ずぶ濡れで「生命は平等だ」

徳田氏は、2年の衆院選旧奄美群島選挙区で、自民党現職だった保岡興治元法相を下して初当選。選挙区だった鹿児島県奄美地方を二分し、両陣営から多くの公選法違反(同)での逮捕者が続出するような苛烈な戦いは「保徳戦争」ともいわれた。

当選後は、保守系の無所属議員を束ねた政治団体「自由連合」を結成し、6年には政党化も果たした。13年の参院選では、スーツ姿の徳田氏が上から落ちてくる大量の水をかぶったあと、ずぶ濡れのまま「生命は平等だ」と決めセリフを吐くテレビコマーシャルを全国放送し、大きな注目を集めたこともある。

ALSの悪化を受け、17年に政界を引退した。しかし、その後も病床から徳洲会グループの病院経営や、選挙地盤を継いだ次男、徳田毅元衆院議員の選挙運動を実質的に差配するなど、強い影響力は保ち続けた。

徳之島への米兵移設「無理」

22年4月には、米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古移設中止を掲げた鳩山氏が徳田氏の自宅を訪れ、普天間に駐在する最大1000人や訓練の一部を、徳田氏の出身地である鹿児島県の徳之島に移設したいと打診。しかし、徳田氏は「大半の住民は移設に反対で、民意に従うべき。移設は無理だ」と拒んだ。

結局、鳩山氏は辺野古に代わる移設案を作ることができず、同年6月に退陣表明に追い込まれた。

特捜部が「起訴相当」

影響力は、圧倒的な資金力に裏打ちされたものでもあったが、最後は大規模な選挙買収事件の首謀者として批判の矢面にもさらされた。

25年には、前年の衆院選を巡り、衆院鹿児島2区で当選した毅氏の陣営に対し、多数の徳洲会グループの職員を給与や日当を払って派遣したとして、東京地検特捜部が強制捜査に着手。虎雄氏の娘2人を含む6人が逮捕された。

虎雄氏は地検が違法な選挙運動の「総括主宰者」として、起訴相当と判断した。しかし、身動きが取れないALSの深刻な病状では公判への出廷が難しいことなどを踏まえ、最終的に不起訴(起訴猶予)となった経緯もある。

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