「漂流教室」「まことちゃん」などで知られる漫画家、楳図かずお(うめず・かずお、本名・一雄=かずお)さんが10月28日、死去した。88歳。胃がんを患い、施設で療養中だった。葬儀は関係者のみで行った。
昭和11年に和歌山県で生まれ、奈良県で育った。30年に漫画家デビューし、「ねこ目の少女」「赤んぼう少女」などを発表。独特のおどろおどろしい画風と深層心理に迫る描写で、恐怖漫画のジャンルを開拓した。47年には代表作「漂流教室」の連載を開始。荒廃した未来で、子供たちが生存競争を行う衝撃的な展開が話題を呼んだ。
ギャグ漫画でも活躍。51年連載開始の「まことちゃん」では、主人公の幼稚園児とその家族が放つシュールなギャグが大ヒットし、指サインの「グワシ」も流行した。
他の代表作に「おろち」「わたしは真悟」など。赤と白の横じまシャツがトレードマークで、東京・吉祥寺の自宅「まことちゃんハウス」(通称)でも話題を呼んだ。
けんしょう炎などで漫画創作から遠ざかったが、令和4年の「楳図かずお大美術展」で27年ぶりの新作となる連作絵画を披露した。平成30年、「わたしは真悟」で仏アングレーム国際漫画祭遺産賞。31年、文化庁長官表彰。令和5年6月、手塚治虫文化賞・特別賞。同賞の贈呈式が公の場での最後の姿となった。