確定した刑事裁判をやり直す再審制度の在り方について、法務省が早ければ3月にも法制審議会(法相の諮問機関)に見直しを諮問する方向で検討していることが5日、関係者への取材で分かった。証拠開示手続きの明確化などが論点となる見込み。70年以上変わっていない再審制度が改正されれば、刑事司法は大きな転換点を迎える。
制度を巡っては、開始の可否を判断する再審請求の審理長期化が問題とされてきた。再審で無罪が確定した袴田巌さん(88)は、1回目の再審請求から開始確定まで42年もの時間を要している。
裁判所の裁量が大きく、証拠開示手続きの不明確さが長期化の要因とされており、法制審ではこの点や、請求手続き規定の整備、再審開始決定に対する検察官の不服申し立ての禁止などが論点となるもようだ。
法務省では令和4年以降、専門家らで構成される刑事訴訟法に関する協議会を開催。5日の協議会では、構成員から「法制審で議論を深めるべきだ」などと法改正を求める声が上がり、異論は出なかったという。法制審では協議会でこれまでに出た意見を基に議論するとみられる。
再審制度改正を巡っては、日本弁護士連合会(日弁連)や自民党有志の勉強会が法改正を求めているほか、超党派の議員連盟も刑訴法改正案のたたき台を作成するなど動きが加速している。