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「五輪盛り上げる」森元首相に猛アピール 角川歴彦被告初公判

産経ニュース 2024年10月8日 22時11分

東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事側への贈賄罪に問われた出版大手KADOKAWAの前会長、角川歴彦被告(81)は8日、東京地裁の初公判で「私は無実です」と無罪を主張した。

犯罪に手を染められない

角川被告の初公判で検察側は8日、社内の絶対的権力者だった被告が違法性を認識した上で、大会組織委員会元理事の高橋治之被告側への資金提供を主導したとする構図を訴えた。

8日午後1時半すぎ、角川被告はマスクをつけ、紺のネクタイとスーツ姿で出廷。裁判長に認否を問われると、はっきりとした口調で「会社の方針を私一人で決めることはできない。犯罪に手を染めることは到底できない」と話し、起訴内容を否認した。

一方、検察側は冒頭陳述などで、角川被告が五輪への参画を主導していった構図をつまびらかにしてみせた。

「オリンピックを盛り上げる」

検察側によると、角川被告は平成29年5月、KADOKAWAのスポンサー契約に難色を示していた組織委会長の森喜朗元首相と会談し、猛アピール。最終的に森氏もスポンサー選定を了承したという。

高橋被告へのスポンサー契約締結への後押しの依頼や資金提供についてもKADOKAWA元専務らから詳細な報告を受けていたという。

検察側の主張によれば、角川被告は元専務からの報告で、スポンサー契約締結前の28年10月には、高橋被告から、スポンサー選定の「見返り」を求められていることを把握。高橋被告の知人の深見和政被告の経営する「コモンズ2」に業務委託費名目で報酬を支払うことを了承した。

偽装工作への関与を指摘

さらに検察側が指摘したのが偽装工作への関与だ。

社内の法務部門は支払いが贈収賄にあたる可能性を指摘していた。元専務らは違法性を報告。だが、角川被告は報酬が見返りであることを隠すため、「コンサルタント業務の対価名目で支払うことを検討する」と元専務から報告を受けて了承していたという。

(桑波田仰太、久原昂也、星直人)

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