学校法人の土地取引をめぐる業務上横領事件で大阪地検特捜部に逮捕、起訴され、裁判で無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」の元社長、山岸忍氏(61)が違法捜査を訴え、国に8億円近い賠償を求めた訴訟の口頭弁論が20日、大阪地裁(小田真治裁判長)で開かれた。山岸氏の元部下に対する取り調べ映像の一部が法廷で追加再生され、検事が机をたたき怒鳴り続けた末に「検察なめんなよ」などと荒ぶる様子が映し出された。
この日は、田渕大輔検事(52)=特別公務員暴行陵虐罪で付審判決定=が元部下に行った取り調べのうち4日間の計約25分間を抜粋した映像が再生された。
映像では、山岸氏の関与を否定する元部下に対し、田渕検事が右手で机をたたきながら「うそだろ。何でうそついたの」と大声で詰問。その後も、「まだ悪あがきするとはどういうことだ。どういう神経しているんですか」などと怒鳴り続けたうえ「検察なめんなよ。命と人の人生を天秤にかけて仕事してるんだよ」「反省しろよ、少しは」と強い口調で怒りをあらわにした。
田渕検事の取り調べを巡っては、6月の口頭弁論でも「プレサンスの評判をおとしめた大罪人」などと迫る約5分間の映像を再生。これは大阪高裁の証拠開示決定に基づいていたが、その後、最高裁がより広範囲の開示を認める決定を出したため、山岸氏側が追加で証拠提出していた。
同月の証人尋問で田渕検事は自身の取り調べを「不穏当だった。全く非がないとは思わない。元部下に真摯(しんし)に取り調べに向き合ってほしかった」と述べていた。