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最高裁「子の福祉」を重視 性別変更の女性が父…凍結精子の次女と親子認める

産経ニュース 2024年6月21日 21時32分

生物学上の父が女性に性別変更した後に女性パートナーとの間にできた子と、法的な親子関係が認められるかが争われた訴訟で、女性を「父」と認めた21日の最高裁判決。「子の福祉」を重視し、親の法的性別が女性でも父子関係の認定は妨げられないと判断した。

「子供の権利のことを考えた上で、今の時代にアップデートされた判決だ」。父と認められた女性は判決後、コメントを発表。次女側代理人の仲岡しゅん弁護士も「常識的な判断」と歓迎した。

上告審では、性別変更後に生まれた子と法的な親子関係を認められるかが争点だった。

女性には、凍結保存した自身の精子で女性パートナーとの間にもうけた2人の子供がいる。長女が生まれた後に女性は戸籍上の性別を変更。その後、次女が誕生した。

法的親子関係が認められれば、父は子を扶養し、養育費を支払う義務などを負う。ただ、令和4年8月の東京高裁判決は長女との親子関係は認めたが、次女については生まれたのが性別変更後であることを理由に認めず、姉妹間に差が生まれる事態となっていた。

判決で第2小法廷は、民法の親子に関する法制は「血縁上の親子関係を基礎にする」とした上で、血縁上の父の法的性別を理由に認知が妨げられれば、子の福祉に反する状態になるとした。

また、性同一性障害特例法が「未成年の子がいないこと」を性別変更の要件としている点について同小法廷は、未成年の子の福祉に配慮した要件だと指摘した。同要件に従っても子が成年の場合には親が性別変更できることを念頭に、この規定はむしろ「法律上の父が男性に限らないことを明らかにしている」と判断。民法などの規定にも女性を父と認めることを妨げる根拠はないとした。(滝口亜希)

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