先の大戦で旧日本軍に徴用されて死亡し、靖国神社に合祀された韓国人の遺族4人が、国が靖国神社に戦没者情報を提供したのは違法だとして、損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)は17日、遺族側の上告を棄却した。不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅すると定める民法(当時)の「除斥期間」が適用されると判断した。
靖国神社への合祀に関する国の情報提供の是非が争われた訴訟で、最高裁が判決を出すのは初。
遺族側敗訴の2審東京高裁判決が確定した。裁判官4人のうち3人の多数意見。三浦守裁判官(検察官出身)は、高裁に審理を差し戻すべきだとの反対意見を述べた。
原告らの父親は昭和34年10月までに合祀。訴訟が提起されたのは54年後の平成25年10月だった。
同小法廷の岡村裁判長は「除斥期間が経過していることは明らか」で、除斥期間を例外的に適用しない事情もないと判断した。情報提供の違法性については判断を示さなかった。
三浦裁判官は反対意見で、遺族側の主張を前提とすれば、国は合祀に直接的に協力し、「政教分離制度の中心的な問題において憲法に違反してきた」と指摘。除斥期間などについて、高裁で改めて審理すべきだとした。
1、2審は、情報提供に違法性はないとして遺族側の請求を退けた。