東京五輪・パラリンピックの大会運営を巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)罪に問われた広告最大手「電通」元幹部の逸見晃治被告(57)と、法人としての電通グループの判決公判が30日、東京地裁で開かれた。安永健次裁判長は「電通の利益、業績向上を図る思惑があった」などとして、逸見被告に懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)、電通グループに罰金3億円(求刑罰金3億円)を言い渡した。
逸見被告と電通は即日、控訴した。一連の事件で判決が下されたのは広告大手「博報堂」=1審有罪、控訴中、イベント制作会社「セレスポ」=同=に続き3社目。
電通側はテスト大会の計画立案業務計5億円余り分の談合は認める一方、本大会の運営業務など計約431億円分の談合は否認していたが、安永裁判長はいずれも談合を認定した。
判決理由で安永裁判長は、談合各社の中で最大手だった電通は「他の事業者の活動に影響を及ぼし得る立場で、非難は免れない」とした。
一方、談合は個人の利益が目的ではなかったなどとして、逸見被告を執行猶予とした。
判決によると、逸見被告は大会組織委員会大会運営局元次長=同罪で有罪確定=らと共謀。平成30年2~7月、テスト大会や本大会の契約の受注を調整して競争を制限した。