世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する文部科学省の解散命令請求を巡り、東京地裁での非公開審理が27日、実質的に終結した。地裁は今後、解散命令を出すかどうかを判断する。
焦点となるのは、教団の行為が、宗教法人法が解散理由に定める「法令の違反」と「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」にあたるかだ。教団の存廃に直結する手続きだけに、東京地裁は慎重に判断するとみられる。
民法の不法行為
最初の関門となるのが、「法令の違反」だ。
これまでに法令違反を理由に解散命令が出た過去2例は、教団幹部が刑事事件で有罪判決を受けていたが、旧統一教会にそうした事情はない。
文科省は法令違反には「民法の不法行為も含まれる」との立場で、教団による被害規模は、和解・示談も含めて約1550人、約204億円に上ると主張している。
違法な献金勧誘
次に問題となるのが「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる」行為かどうか。
文科省は①昭和55年以降、全国で多数回、違法な献金勧誘や物品販売をしていた②正体を隠したり不安を煽るといった手法が全国で共通していた③本人に加え親族などの生活の平穏も害した-ことなどが解散理由に該当すると主張している。
一方の教団側は「資金集めを目的とした団体だとの主張は明らかに間違いだ」と反論している。
「質問権は適法」
今回の「前哨戦」とも位置付けられる裁判手続きでは、教団に厳しい判断が示されている。
文科省が解散命令請求に先立って教団に質問権を行使し、回答を拒んだ教団に過料を科すよう求めた裁判だ。
この裁判で、地裁と東京高裁は、いずれも「法令違反」には民法の不法行為も含まれると判断。教団の一連の行為も「著しく公共の福祉を害する」行為にあたる「疑い」があり、質問権行使は適法だったとした。
教団側はこれを不服として最高裁に特別抗告しているが、解散を巡る判断にどう影響するのかも注目される。(滝口亜希)