大阪府岸和田市の永野耕平市長(46)との間で性的関係が継続したとして、政治活動でかかわりがあった女性が市長を相手取り、約2280万円の損害賠償を求める訴えを起こし、大阪地裁(林潤裁判官)で和解していたことが28日、分かった。市長が訴訟に至ったことを謝罪し、解決金500万円を支払う。14日付。
女性は「性行為を強要された」と訴えていた。和解条項の前文では、「純粋に対等な関係にあったとはいえず、むしろ被告は優越的な立場にあって、社会的な上下関係が形成されていた」と指摘。市長が公人で配偶者がいることも踏まえ、「原告と性的関係を持つことはよくよく自制すべきであったとの非難を免れることはできない」との所見が示された。
女性の代理人によると、女性は5年前に市長と知り合い、令和3年1月ごろまで「性行為を強要され、継続して性的な加害行為を受けた」と主張。心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、同年春には休職を余儀なくされた。一方、市長側は訴訟で「同意があった」と反論していたという。
女性は大阪府警に強制性交罪で被害届も出したが、大阪地検が不起訴としたため、4年6月に提訴した。女性は「心身ともにぼろぼろです。裁判上の和解をしたからといって、被告を許した訳ではありません。今でも本当に悔しいです」とのコメントを出した。
永野市長はX(旧ツイッター)で一部報道に対し「性的な加害案件があったかのようなタイトルがつけられていますが、事実ではありません」と投稿。「裁判内容は当事者も秘匿することになっている」ともしているが、女性の代理人によると、和解の中で口外を禁じる条件は付けられていないという。
市長は、その後、大阪市内で取材に応じ「世間をお騒がせして申し訳ない」と謝罪した上で、「相手側のプライバシーもあり裁判の内容は話せないが、性加害は事実ではなく、自分に非はない」と説明。進退については「考えていない」と市長退任の考えはないことを示した。
永野市長は平成30年に大阪維新の会公認で立候補し、初当選。令和4年に再選し、現在2期目。