和歌山市の漁港で令和5年4月、岸田文雄前首相の演説会場に爆発物が投げ込まれた事件で、殺人未遂罪などに問われた無職、木村隆二被告(25)の裁判員裁判の第3回公判が6日、和歌山地裁で開かれ、被告人質問が行われた。被告は事件2日前にも、2025年大阪・関西万博の会場付近で「爆発物を投げようとした」と述べた。
これまでの審理で被告は同年4月13日、万博会場の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)近くの駅を利用していたことが明らかになっている。この日、岸田氏は万博会場の起工式に出席していた。
被告人質問で被告は、夢洲付近でも爆発物を2個所持していたとし、「岸田さんの近くに爆発物を投げるためだった」と説明。結果的に着火を見送ったのは、「(岸田氏が)いる場所があまり分からなかったから」と述べた。
また、弁護側から事件当日も岸田氏を狙って爆発物を投げたのか問われ、「はい」と答えた。
主な争点は殺意の有無。検察側は冒頭陳述で「現職総理大臣を狙い、周囲の人を無差別に攻撃対象としたテロ行為」と指摘した。一方、弁護側は、選挙制度に不満を持った被告が「爆発物で自分の考えに注目を集めようとした」と動機を説明し、要人を狙ったテロとの見方を否定している。
起訴状によると、5年4月15日、和歌山市の雑賀崎漁港で、選挙の応援演説に訪れていた岸田氏のそばに爆発物を投げ込み、聴衆と警察官の計2人にけがをさせたほか、兵庫県川西市の自宅などで4年11月~5年4月、黒色火薬564グラムや爆発物2個を自作したとされる。