複数の園児に対する性的暴行が、安心できる場所であるはずの保育所で約2年間続いた。発覚が遅れたのは、長田凪巧被告が、他の職員の死角をついていたからだ。
令和5年12月28日、被告の父親が園長を務める東京都墨田区の保育所。この園に通う当時6歳の女児は、午睡の時間、眠れずに起きていた。
検察側の冒頭陳述によると、被告は電車のおもちゃの部品のありかを尋ねるふりをして、女児を押し入れに誘い出した。2人きりになると、女児の顔に目隠しのバンダナをかけ、わいせつな行為に及んだという。
この時、午睡の見守りにあたっていたのは、被告一人だった。
その夜、女児は母親に、被告に押し入れへ呼び出されたことや、口止めされたことを告げた。不審に思った母親は保育所に連絡。副園長とともに被告を問いただした。副園長が警察に相談し、この女児以外にも6人の被害者がいることが明らかになった。
論告で検察側は、高校時代から児童ポルノを収集していた被告が保育士の職に就くのは不適切だと自覚しながらも、「園長を務める親の敷いたレールから外れられないと考えた」とした。
論告によると、7人の中には夜中に突然泣き叫ぶ症状がみられる女児もいるという。幼い被害者の心身には、根深い傷が残された。(橘川玲奈)