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最高裁長官に就任した今崎幸彦さん(66) 「司法の使命に力尽くす」

産経ニュース 2024年8月16日 20時20分

「全国の裁判官、裁判所職員とともに、司法の使命を果たすことができるよう力を尽くしたい」。第21代最高裁長官に就任し、決意を語った。

裁判官としては刑事一筋。最高裁の事務総局で裁判員制度の導入・運営にかかわったが、忘れられないのは、「現場」の東京地裁で裁判長を務めたときの光景だ。

平成23年3月11日の金曜日、裁判員とともに座った法廷が大きく揺れた。東日本大震災だった。その日は審理を中断したが、月曜日、裁判員と補充裁判員全員が再び地裁へ集まった。その責任感に感銘を受けるとともに、国民の理解と協力に支えられている制度だと身をもって実感した。

温厚な性格だが「言うべきときははっきり言う」「仕事を任せてくれる」と、後輩裁判官からの信頼は厚い。

委員を務めた26年の法制審議会では、取り調べの録音・録画を巡って多様な意見が出る中、供述が適正な取り調べで引き出されたかを判断するには録音・録画が「最良の証拠」だとする裁判所の立場を明確にし、議論に影響を与えた。

大切にしている言葉は、古代ローマの政治家、カエサルの「多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」。望ましくない事態にこそ、逃げずに向き合わなければならない。自身への戒めとしながら、価値観が多様化する時代の最高裁のかじ取りをする。(滝口亜希)

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