前理事長による性加害と法人の安全配慮義務違反が10月の東京地裁判決で認定された社会福祉法人「グロー」(滋賀県近江八幡市)について、県は「県女性活躍推進企業」の認証を取り消す方針を決めた。県によると、認証取り消しの時期は未定だが、取り消されれば制度創設以来初めてという。
同制度は平成27年、女性の活躍推進に取り組む企業・団体を応援するために創設された。女性の正規従業員比率、従業員の育休取得率など32項目の達成度を審査し、達成項目数に応じて一~三つ星企業として認証している。企業・団体のイメージアップのほか、県の入札資格審査でのポイント加算▽県の公共調達で優遇▽県ホームページなどで企業PR―などのメリットがある。グローは29年に二つ星企業の認証を受けた。
前理事長の北岡賢剛氏(66)から性暴力やセクハラ、パワハラを繰り返し受けたとして、元職員の女性2人が北岡氏とグローを相手取って損害賠償を求めた訴訟では、東京地裁が10月、北岡氏の性加害を認定し、220万円の支払いを命じ、グローに対しても安全配慮義務違反があったとして440万円の支払いを命じた。北岡氏側は判決を不服として控訴している。
判決を受け、県は今月12日、ハラスメント対策や代表者を含めた役員のハラスメント規定の整備などについて、グロー側から聞き取りを行った。三日月大造知事は同17日の定例記者会見で、「認証を取り消す方向で考えることが望ましい」との考えを示した。
女性2人が令和2年11月に提訴した後の4年11月にグローを二つ星企業に再認証した点については「私まで決裁があがっていれば、こういう決定をしにくかっただろうなという印象を持っている」と述べ、今後の反省材料にするとした。