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「手術なしで性別変更」認める 広島高裁の差し戻し審 外観要件満たすと判断

産経ニュース 2024年7月10日 16時20分

性同一性障害と診断された人が、性器の外観を変える手術をせずに性同一性障害特例法に基づいて戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう求めた家事審判の差し戻し審で、広島高裁(倉地真寿美裁判長)は10日、変更を認める決定をした。

特例法は性別変更を認める5つの要件を定めている。このうち生殖能力をなくすことを求める生殖不能要件については最高裁大法廷が昨年10月、「違憲で無効」と判断。変更後の性別と近い性器の外観を備えることを求める外観要件については判断を示さず、審理を高裁に差し戻していた。

申立人は平成21年に性同一性障害の診断を受け、女性として社会生活を送っている。性別適合手術は受けていない。

高裁決定は、外観要件を満たすために常に手術が必要だと解釈すれば、手術を受けるか性別変更を断念するかの二者択一を迫ることとなり「違憲の疑いがある」とし、手術を伴わなくても外観要件を満たせる場合があると解釈した。

その上で高裁は、変更後の性別の性器だと認識することに「特段の疑問を感じない」外観であれば要件を満たすと判断。申立人はホルモン療法で体が女性的になっていることなどから外観要件を満たしているとして、性別変更を認めた。

性別変更の家事審判は争う相手方がいないため高裁決定が確定した。

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